ゆる受験が話題になっています(いました)。
いまいちまとめきれず、完全に出遅れたのですが、今日はこのゆる受験について思うことを書いていきます。
話題の基になったヤフー記事によると、ゆる受験とは「6年初期から入塾し、他の習い事や趣味を続けながら、受験すること」なのですが(本当に簡略化して説明してます)、
このゆる受験で入れる学校として、特定の学校があがっていたことから、各方面から反響がありました。
内容をまとめつつ、自分なりの意見を書きます。
1 受験生や内部生、学校に対して失礼だ
保護者の方、学校関係者の方のツイートで目にしたのが、この意見でした。その学校に対して、多くの時間や労力をさいているし、今まさに目指している最中なのだから、そのような発言はやめてほしい、保護者のモチベーションも生徒のモチベーションも下がるという内容です。
非常によく分かります。
保護者や学校関係者からの反発、反感は、この記事が完全に真実といいにくいことも影響しているのではないかと感じました。
2 ゆる受験ではそもそも受からない
塾の先生方のツイートで多く目にしたのが、この意見でした。小6からの対策で合格できると書いているが、それはウソ、小6からでは受からないという内容です。
記事の中であげられていた学校の偏差値帯や倍率には、幅があったので、確かに記事は少しズルいなぁ(わざとやってるなぁ)と感じました。
受ける学校によってはゆる受験で受かるし、受ける学校によっては受からないというのが自分の意見です。
倍率や偏差値が低ければ受かりやすいし、高ければ受かりにくい。
当たり前のことをカッコよく言いました。
もっとカッコいい言い方を思いついた人はDMください。
3 ゆる受験で受かったときに残るものが少ない
仮にゆる受験で受かったとしても、残るものが少ないのではないかというのが、私個人の意見です。
中学受験の合格それ自体を最終目的にしているご家庭は1件もありません。
例えば、開成合格を目標にしていても、開成に合格すれば何もしないでいい、無職でもなんでもいい等と考えている家庭はありません。どのご家庭もその先の東大合格、海外大合格、社会での活躍を見据えています。
例として、あえて開成を挙げましたが、開成に限らず、どの中学を受験するにあたっても、その中学だけ合格できれば、あとはどうでもいいんだと考えているご家庭を私は見たことがありません。
中学受験は通過点です。
これを大前提とするなら、中学受験はそれ自体の合格ではなく、その先の高校大学受験、社会人生活のために活きる力をどれだけ身につけられるかが大事になってくるはずです。
中学受験の価値、中学受験未経験組との差は合格したかどうかではなく、通常の小学生が通常では身につけられないスキルを手に入れられることにあります。
大量の文章を制限時間内に読み解く技術、筆者の主張を短時間で要約し、限られた文字数でまとめきる能力は、通常の生活の中で身につけるのは困難です。
このような能力を開発できる時期は小学生の期間以外には実は少なく(小論文はこの能力があること前提で授業が進む)、こうした能力を備えた上で中学高校大学の教育を学ぶのと、そうでないのでは、能力の身につき方に差がでるのは明らかでしょう。
訓練を受けずにある程度できちゃう子はいますが、その子であっても訓練を受けたほうが上達することは言うまでもありません。
自分の専門が国語なので、国語に限った話をしていますが、おそらく算数理科社会の中でも中学受験を本気で取り組まなければ、得がたいスキルがあるはずです。
ゆる受験だから、スキルが身につかないとはいいませんが、大量の文章を制限時間内に読み解く技術、筆者の主張を短時間で要約し、限られた文字数でまとめきる能力を育てるには、一定の期間が必要です。
能力が身につくゆる受験や、どうしても公立を回避したいからするゆる受験以外は、自分は賛成できません。